消費者物価の変動要因

摘要

消費者物価は景気の良し悪しや需給の逼迫に伴って変動するために、経済の体温計ともいわれる重要な経済指標の1つである。消費者物価指数は、2013年1月に日本銀行が、「「物価安定の目標」を中心的な物価指標である消費者物価の前年比上昇率で2%とすることとした」ために、金融政策の目標の1つとしても注目を集める指標となった。筆者は本誌2015年10月号において、2010年～2015年前半の物価動向を検討したが、2015年後半以降も、消費者物価は国際的な原油·天然ガス価格、国際商品市況、為替レート等の変動の影響をうけながら変化している。特に、2015年には、円安の効果を超える国際的な原油価格の下落があり、国内のエネルギー価格は大きく下落し、石油を原材料とする製品の価格も影響を受けた。他方、2013年後半から始まった、食料をはじめとする多くの財·サービス価格の上昇は、2015年後半以降も続いていて、価格が下落する財·サービスと、価格が上昇する財·サービスとが混在する状況にある。本稿では、このような物価動向ついて、輸入物価と食料価格に注目して検討する。