多様な働き方と若年労働市場の将来:非正規雇用問題を中心に

摘要

1990年代後半以降、日本の若年労働市場は急激 に悪化した。2002年時点での若年者の完全失業率 は、15〜19歳は12.8%、 20~24歳は9.3%、 25〜29 歳は7.1%という高い水準を記録した。また、「二一ト」と呼ばれる無業の若年者が1992年から2002 年にかけて67万人から85万人に急増した。この人 たちは、「仕事を探してない」という点で失業者 とは異なるために、「働く意欲のない若者」とし て批判の対象になることもあつたが、むしろ不況 期を通じて増えていったのは、「将来的に仕事を したいと思つているけれども現在は仕事を探して いない」若年者であった。こうした人々は、就職 機会が低下したことで職探しの意欲を失つた、「求 職意欲喪失者」と捉えることができる。