中国農村における労働力資源の利用状況と展望：中国所得分配調査(CHIP)2013に基づいて

摘要

2010年以来の中国では、都市部の求人倍率が高止まりし、農民工を含む一般労働者の賃金が上昇し続けている。背景に、農村部の余剰労働が枯渇し、中国経済が労働力の絶対的過剰から相対的·絶対的不足への転換点を過ぎたことがあるといわれる。68.7％を占めた1980年の第1次産業就業者割合が2013年に31.4％に下がったことから、そのような印象が持たれようが、就業者数は同期間中2.9億人から2.4億人へと5000万人の減少にとどまった。耕地面積が減り、農業機械化が大きく前進している事実に鑑み、農村部には依然多くの労働力が潜んでいるとの指摘にも首肯できる。目下の都市労働市場における需給逼迫は、戸籍制度などによる移住規制で農村の労働力資源が十分に利用されずにいる側面と関係しているように思われる。