ブンタン

摘要

ミカン科，ミカン属の1種で果実が食用とされる。カンキッ類で最も大きな果実をつける。一般に樹勢強く大木になるが，品種によりやや矮性。耐寒性は一般に弱い。通常，緑枝，子房などには細かい毛がある。葉も翼葉も大きい。花は大きくて総状花序の房咲きになる。白色だが，アントシアン色素を含み，いくぶん青みを帯びる。4弁花が多い。果実はミカン属の中では大果で1kg前後のものが多いが，2～3kgになる品種もある。果形は栽培品種によって扁球形，球形および倒卵形とさまざまである。果皮色は黄白から黄色。果皮は厚く，ふつう1～2cmで苦味のあるものが多い。砂嚢(袋の皮)は厚く，袋の数は他種に比べ多く，15前後。肉質はグレープフルーツに比べ硬い。果肉の赤色系色素はリコピンである。種子は白色，単胚。種子数は多いが，単為結果性があり，種子のない無核果も生じる。果汁は全般に少ない。風味はやや淡泊である。じょう嚢や果皮には苦味成分のナリンギンが多く含まれている。ほとんど生食にされる。赤肉種はデザートの彩りに使われる。日本では約7，000t生産されるが,約10%が砂糖漬(文旦漬)にされる。大果で立派なうえ特有の香りがあるため置物にもされる。