下水道使用自粛要請: 2万8千世帯と向き合う

摘要

平成29年10月24日に、大阪府の下水処理場敷地内において堺市が管理している公共下水道管（1.200mmコンクリート汚水管）が破損して陥没が発生し、応急復旧が完成する10月30日午前0時までの6日間、2万8千世帯の市民に下水道使用自粛要請する事態となりました。その原因は汚泥処理施設返流水による腐食と、幹缐水位上昇による内圧発生とされていますがここでは事故後の自粛要請に注目してみました。自粛要請は東日本大震災で東北各地の下水道事業者から出された記憶が新しいです。例えば気仙沼市は「食器などはバケツでため洗いし、庭をお持ちの方は庭にまくなどご協力をお願いします」、釜石市は「トイレはできるだけ避難所等に設置してある仮設トイレを使い、洗濯やお風呂はできるだけ回数を減らすようお願いします」というチラシをまきました。堺市も10月25日からは、いつ水被害があった該当区域に同種のチラシを配布しました。また、地域内の公園には仮設トイレを設置しました。特筆すベきは、市が現地対策本部と避難所を設けたことです。市の対策本部は上下水道局庁舎内にありましたが、できるだけ現場に近いところにも前線本部を設けて情報収集と実情確認、市民の不安解消を目指しました。避難所は、水道、下水道の使用自粛で生活に支障が出たり不安を持ったりした場合の対応策として設けました。