75年前には

摘要

国防技術委員会の答申案日本技術協会では高度国防国家建設への科学及び技術陣動員体制の具体策を緊急樹立する必要から去る7月初旬以来全曰本の軍，官，民，科学者，技術者から選ばれた百数十名の委員から成る国防技術委員会を結成し，直接国防，技術政策，農林，保健衛生，交通及び公共事業，通信及び情報，地下資源，動力，工業生産技術者及び労務者の10専門部会に分れ,鋭意審議中の処，先般答申案が成ったので委員長有馬頼寧伯から近衛首相に手交した。答申案は極めて広範囲に分れているが,その中には(1)既存重工業会社を統合して半官半民の兵器会社を創設,(2)兵器製造に経済的保証を与える兵器保証法の設定，(3)内燃機関，航空機，自動車，工作機械製造工業に強力な国策的指導会社設立，(4)工業技術の国家管理断行，(5)国内技術公開の即時実施,(6)世界各国の技術情報蒐集機構の拡充,(7)国家労働力の生産性向上策の樹立等々の外,科学及び技術研究並に教育機関の徹底的整備の如きもあり,新体制への技術及び科学政策に対して一つの寄与をなすものとして注目せられている。