アインシュタインと石原純

摘要

アインシュタインが1922年11月に来日したときの熱狂的な歓迎ぶりについては，一科学者としては空前絶後の，といわれている。このときアインシュタインの約40日間の講演旅行のほとんどに石原純は同行し，一般講演の通訳と解説を行った。そればかりでなく二人は移動中の汽車の中や食後の暇を見つけて，石原の電磁エネルギー•テンソルに関する考えについて意見交換をし，一緒にその数学的計算をするに及んだという。翌23年に出版された『アインスタイン博士講演録』(改造社)の石原の「講演後記」には，その計算の完成する見通しもありそうなことが記されている。残念なことにその証拠になるノートとか計算用紙はみつかっていない。完成して発表されれば，アインシュタインー石原共著論文となるところだった。