川辺川ダムの効果を検証する: 2020年7月球磨川洪水を受けても反対する理由

摘要

長期化したダム事業の代表格として「東の八ッ場，西の川辺」が挙げられていた。2009年8月の衆院選によりこれらのダムの中止をマ二フェストに掲げた民主党政権が発足し.前原国交相(当時)が中止を表明したことで決着したかにみえた。ところが.八ッ場ダムは2011年12月に同政権の野田内閣により建設継続に方向転換され.2019年に工事が完了した。同年10月に試験湛水を開始したところ，台風19号による洪水が発生し，約7500万m³を貯留した。このことにより.「利根川が救われた」と評価する向きもあるがたまたま試験湛水中でダムが空いていたため大量の水を貯められただけで.運用中であれば洪水期の洪水調節容量6500万m³を超え.緊急放流をしていたはずである。そうなれば.役に立つどころか.害になったと批判されたであろう。