ちびっこチンパンジーから広がる世界マウンテンゴリラの水遊び: ウガンダ•ブウィンディ国立公園での初観察

摘要

マウンテンゴリラは絶滅危惧種に指定されていて,その生息地はウガンダのブウィンディと，ゥガンダ・ルワンダ•コンゴ民主共和国の3国にまたがるビルンガという2つの森林だけだ。保護された森林だが，周囲の人口は増えつづけて食料や木材の需要も高まり，ゴリラのすむ森を圧迫している。ブウィンディ国立公園331km~2の広さに，マウンテンゴリラの総数の約半分にあたる459人がくらしている。しかし公園の周囲はすべて農地で，1km2あたり250人ものヒトがくらしている。ゴリラにとっては，広い森に多様な植生があることがとても重要だ。果物や木の葉，草本性の植物の芯•葉•芽など150種もの幅広い植物を食べて，あの巨体を維持している。マウンテンゴリラの数が増えにくいもう一つの原因は，子どもの成長に時間がかかり，出産間隔も長いことだ。たいせつな子どもを守るかのように，群れのなかまの社会的な絆は強い(図1)。群れの構成は，シルバーバックと呼ばれるおとなの男性が一人ないし数人，子どものいる母親が数人，おとなになる前の若者が数人だ。男性も女性も生まれた群れを出ていくが,父親が死んだあとに息子が群れの新しいリーダーとして出自の群れに残るばあいもある。