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摘要

初めて解読されたアムールトラの全ゲノム塩基配列とホワイトベンガルトラ、アフリカライオン、アフリカホワイトライオン、ユキヒョウのゲノム塩基配列について報告する論文が発表された。今回の研究では、このゲノム塩基配列の比較解析が行われ、肉類中心の食餌と筋力のいずれとも整合するゲノムの特徴が明らかになった。この結果は、大型のネコ科動物の遺伝的多様性と保護を研究するうえで貴重な情報資源となる。トラ(Panthera tigris)は、世界最大のネコ科動物種で、効果的な保護対策が実施されなければ、まもなく絶滅すると予測されている。現在、トラの野生個体の総数は4000頭弱と推定されており、その保護が動物保護活動家の大きな目標となっている。J.Bhakらはこのほど、大型ネコ科動物の補食への適応と進化についての解明を進めるたれ、エバーランド動物園(韓国)で飼育されている9歳のトラのDNAを用いて、ゲノム塩基配列の組み立てを初めて行い、さらに、4種のヒョウ属のゲノムの塩基配列を解読した。そして、トラ、ヒト、イヌとマウスのゲノムの比較解析を行って、大型ネコ科動物に特異的で、肉類中心の食餌を示す遺伝子1376個を同定、筋肉の収縮とアクチン細胞骨格に関与する遺伝子が急速に進化したことを示す証拠を明らかにした。さらに、ユキヒョウの高地適応にとって重要であった可能性がある2個の候補遺伝子を同定し、アフリカホワイトライオンの毛色遺伝とみられるものも同定した。(ネイチャー·コミュニケーションズ電子版)。