ョ一口ツパの大学における人材育成の視点：ィタリァにおける事例の紹介

摘要

斜面崩壊や土石流に起因する土砂災害は、一般的には斜面が急峻な山地、山岳地帯で発生する。そのため、日本をはじめとして急峻な地形を有する国々では土砂災害への対策を迫られている。ヨーロッパにおいては、東西アルプス山脈の位置するスイス、イタリア、オーストリァにおいて土砂災害が多く発生している。そのため、これらの国々では国の研究機関や大学において土砂災害に関連する現象やその対策が幅広く研究されている。筆者は所属機関が採択された日本学術振興会•国際的な活躍が期待できる研究者の育成事業（旧•頭脳循環を加速する若手研究者戦略的海外派遣プログラム）の助成を受けてイタリアのボルツァーノ自由大学（Free University of Bozen-Bolzano)•理工学部に2018年10月〜2019年8 月の10ヶ月間滞在し、Francesco Comiti准教授のもとで氷河を含む山岳流域からの土砂流出などをテーマとして共同研究を進めている〈写真一1〉。Comiti准教授は森林科学系の学部研究科を卒業後に河川地形学を専門としており、農学部森林科学出身者の多い日本の大学の砂防研究者と近い研究経歴である。