街区の空間特性が街路空間の風通し環境に及ぼす影響: 気候資源としての風の利用を目的とした街路形態と街路空間の風通しの関係の分析　その2

摘要

日本の多くの都市は沿岸部に位置しており，夏季日中には海風による高温化抑制効果の恩恵を受けていると考えられる．ヒートアイランド現象に対する対策方法の一つとして，この海風を市街地内に積極的に誘導することが検討されている．著者らは大阪市及びその周辺地域を対象として，地上から50m程度の高さで観測された気温，風向，風速のデータを用いて海風の市街地気温緩和効果のポテンシャルを評価した．その結果，海岸から離れた地域（20km程度）であっても，海岸付近の風速の4割程度まで減衰するが上空に海風が進入してきており，地表付近の風通し改善のポテンシャルとして利用することが可能であると考察された．