地域性及び時代性を考慮した木造建築物の地域地震被害率関数構築法の提案: 北海道を例とした耐震評点分布を利用する方法

摘要

This paper describes a method for developing the regional damage rate function by using the seismic index distribution of wooden buildings, To develop a damage rate function from the diagnostic results using the 2004 version of the seismic evaluation method, we rebuilt the damege index function. For construction year with few diagnostic results, we employed a method to estimate the distribution from Bayesian inference with the results of Mokutaikyo (nationwide average) and the damage rate or destructive earthquakes occurring near the construction year. In the case of Hokkaido, the distribution and damage rate function by construction year were estimated.%大規模地震は様々な対策によって被害軽減を図ることが重要であり，特に切迫性の高い地震や甚大な被害が予想される地震は，効果的•効率的に軽減策を講じなければならない。このため具体的な被害軽減量を数値目標として定め，被害要因の分析を通じ効果的な対策を選択し，戦略として集中的に推進することが求められる。被害量計算には，建物の戸別被害を評価する損傷度関数の他，自治体では地域を単位とする被害率関数が用いられるが，近年の評価精度向上の要求を承け，特に木造住宅耐震性においては地域性（地域による構法の違い）や時代性（築年数の違い）に強く配慮した関数提案が求められている。本論は各地域における防災行政での活用を意図し，木造住宅の高精度な被害率関数の構築方法を新たに提案するものであり，北海道を例とする。なお，建物構法は地域の気候区分に影響を受ける。地域分類として，例えば住宅の省エネルギー基準の地域区分がある。北海道は，地域区分のうち最も寒冷な地域として，旧基準ではI地域，平成25年基準では1地域• 2地域にほぼ全域が指定されている。本論では，北海道内を同一地域として扱い，耐震性の違いの主要因は時代による構法の変遷によるものとする。