目視検査作業の機械化を目指した人の検査メカニズムのモデル化:【傷の気付きアルゴリズム】技術開発

摘要

産業の，とりわけものづくりの現場において，外観検査·画像検査は欠くことができない．したがって，検査対象やキズ·欠陥像の種類は多岐にわたり，おびただしい数と種類の個別課題が存在することになる．これに対して画像検査機械開発の技術者·研究者は，もてる経験とノウハウを駆使した一品一様開発という戦略で各個撃破を繰り返し，外観検査·目視検査の自動化が達成されてきた．一方，自動車生産にも目視検査は不可欠であるが，利用者へ製品を提供する生産の究極の目標は，欠陥を発生させないことである．つまり，検査フリー生産を実現することである．われわれは，そこに至る具体的対策の一つは，製造プロセスにも検査プロセスにも通底して深く関与している熟練検査員の注意·集中意識や，人の視覚生理機構の根本的機能を実装する技術開発にあると考えている．すなわち，「人の検査メカニズムのモデル化と機械化」である．「人に学ぶ」ことの重要性を再認識し，あらゆる個別事例に通貫した検査原理の解明を模索することが，画像検査機械実現への道程であると考える．本稿では，以上の視座に立って開発した【傷の気付きアルゴリズム】について解説する．