太陽系で最も古い火山岩

摘要

太陽系ができた直後，微惑星や原始惑星が形成され，地球や火星などの惑星をつくる材料となった。隕石の証拠から,微惑星や原始惑星の地殻をつくる岩石は,火山岩である玄武岩であったと予想されていた。一方，近年の研究で，玄武岩ではなく，よりケイ素に富む安山岩であった可能性も議論されている。フランス，オキシダンタル大学のバラット博士らは，アルジェリアで発見された隕石「Erg Chech 002」が，安山岩の性質をもち，今から45億6500万年前にできた溶岩であることを突き止めた。これは太陽系の誕生直後(誕生から225万5000年後)につくられたことになり，これまでに年代が知られている火山岩の中で最古のものになる。高温だった溶岩は,1000°Cまでは年間約5°Cの割合でゆっくり冷えたあと，隕石が原始惑星に衝突したことで地表へ噴出し，急冷されてできたという。この結果は，玄武岩だけでなく，安山岩も原始惑星の表層に存在していた可能性を示している。