転がり軸受の油膜厚さと転がり抵抗の高精度予測

摘要

高精度に予測できないことの方が多いトライボロジーにおいて，精度の高い理論の代表はへルツの弾性接触理論とレイノルズの流体潤滑理論である.したがって，これらを組み合わせたEHL(Elastohydrodynamic Lubrication, 弾性流体潤滑)理論も高精度であると考えるのは自然なことである.実際，単純化されたボールオンディスク実験の油膜厚さの予測精度はかなり高い.しかし，転がり軸受の油膜厚さの予測は別な話である.ボールオンディスク実験に比べて転がり軸受では,現象がはるかに複雑であり，油膜厚さの予測精度は著しく低下する.本稿ではEHL理論の基礎と,その転がり軸受への適用における課題について解説する.