2017年度日本トライボロシー学会トライボロジーオンライン論文賞受賞者

摘要

本論文は，高速切削においても工具への切りくずの卷付き抑制•工具寿命の向上が可能な新しい切削 タップの開発に関するものである.切削タップへの切りくずの巻付きは，ネジ穴加工における加工能率の向上を妨げる主要な原因となっ ている.また，切りくずの卷付きは切削タップの折損を引き起こす場合があり，工具の長寿命化の妨げ にもなっている.従来，切削タップの表面処理方法としては酸化処理や硬質コーティングなどがある. いずれも被削材料と工具間の摩擦係数の低減により切削抵抗を減らし，工具の長寿命化を目的としたも のである.しかしながら，これらの表面処理を施した切削タップでは，高速加工条件において切りくず が長片化するため，切りくずの卷付きが生じてしまう問題がある.