港湾構造物の耐震設計における地震応答解析:設計実務で使われている地震応答解析の手法と災害対応での活用

摘要

2007年、「港湾の施設の技術上の基準」が改訂され、重要施設についてはレベル2地震動に対してサイト特性を考慮した地震動を用いた振動実験または数値解析による耐震性能照査を実施することになつた。設計実務では、港湾施設が甚大な被害を受けた1995年兵庫県南部地震の際の神戸港の被災状況との比較、被災メカニズムの解明のために実施された振動実験データとの比較から適用性の確認が行われた、非線形地震応答解析による照査が行われることが多い。1995年の港湾施設の地震被害が、地震動による慣性力と地盤内の過剰間隙水圧の上昇に起因するものであつたため、これらをするため土の応力に基づく定式化、有限要素法、逐次積分法を用いた地震応答解析(以降、有効応力解析と呼ぶ)が岸壁や桟橋の照査に用いられている。