低コストな無線式水位観測システムの提案: 通信技術とフィールドワークの連携で挑む技術開発

摘要

近年、記録的な大雨による水害が全國各地で多発し、河川の氾濫等による被害をもたらしている。中小河川の水位観測網が充実していない理由として、これまでデータ送信機能を有する水位計は導入·維持管理コストが高く、人掛かりな設置工事が必要であったため、導入可能な場所が限られていたことが挙げられる。これは河川だけでなく、ため池、農業水路、水力発電關係設備などにおいても当てはまることであり、水位観測網の充実によりさらなる安全性·利便性の向上が期待できる水域は多く存在する。今後、これらの水域における水位観測網の充実を図るには、より導入·維持管理コストが低い、設置が容易、さまざまな設置環境に対応可能といり件を満たす水位計が必要である。香川高専と(株)四国総合研究所の共同研究チーム(主なメンバーとして、香川高専からは著者、柳川竜一准教授、林和彦准教授が、四国総研からは藤本知规副主席研究員が参加)では、フィールドモニタリングシステムの共通基盤技術openATOMS(1)を利用することで、より低コストな無線式水位觀測システム(Water Minder)の開発を進めている。将来的には、防災上の観点から水位観測を必要とする河川やため池をはじめとしたその他さまざまな水域において、このWater Minderの導入を目指している。