生体適合性を改良したチタン-ジルコニウム合金：ラット埋植試験におけるチタン-ジルコニウム合金の純チタンおよびジルコニウムと比較した組織反応性と感作性

摘要

ステンレス鋼およびコバルトークロム（Co-Cr）合金は，その生体適合性や物理学的性質，および加工の容易さなどから整形外科および歯科用インプラントの材料として広く用いられている．これらの合金は優れた耐食性を有しているため，局所的または全身的な生体反応を起こさないとされていたが，生体内では時としてフレッチング腐食が起こり，金属イオンが溶出する．金属インプラントを埋入した患者や動物で，血中，尿中および組織中の金属イオン濃度が上昇する例が観察されている．特に，ニッケル（Ni），CoおよびCrは組織傷害や金属アレルギーを起こすことが知られている．