特集「小型推進系が切り拓く超小型衛星の未来」について

摘要

2003年，日本は世界に先駆けて超小型人工衛星の宇宙 運用を実証した.それ以降10年の歳月を経て，全世界で 年間100基にも上る爆発的な打ち上げ基数の増加を示して いる.既に超小型衛星を利用したビジネスも数多く生まれ てきており，この流れはさらに加速するものと考えられ る.しかし，これら超小型衛星の多くは推進機を搭載して おらず，自らの軌道制御等に制約を抱えて運用を行ってい た.近年，ようやく推進機を搭載した例も現れ始め，2014 年には50 kg級の小型衛星においては世界初となるイオン スラスタの運用を東京大学が成功させた.今後.超小型衛 星を利用したフォーメーションフライト.コンステレーシ ョン等，運用の高機能化には推進機がますます不可欠な存 在となるはずであり，実際.日本からもEQUULEUS, PROITERES 2号機など推進系を搭載した超小型衛星の打 ち上げが控えている.