小特集--位相情報を考慮した音声音饗信号処理: 小特集「位相情報を考慮した音声音響信号処理」にあたって

摘要

位相は信号処理で扱われる基本的な量の一つであるが,振幅，周波数などに比べ，分かりにくく，扱いづらい面があり，また，音質への影響が少ないとの認識から，従来の音声音響信号処理においては，位相は必ずしも中心的に扱われてはこなかった。しかし，近年，信号処理の進展と共に位相を扱う重要性が高まっており，例えば，国際会議Interspeech 2014では"Phase Importance in Speech Processing Applications"と題したスペシャルセッションが企画され，その後Speech communication 誌で も 特集号が企画された [1]。 日本音響学会の研究発表会においても，ここ数年，位相に関連した発表が増加しているように感じられる。また，大きな発展を続けている機械学習分野においても，位相，もしくは複素数データの扱いという観点からの関心が高まっている。