単身者を対象とした民間賃貸マンションの防犯性能の現状と課題: 一般賃貸マンションと防犯モデルマンションの比較

摘要

本研究では、単身居住者を対象に一般単身者向け賃貸マンション（「一般」）と防犯モデルマンション（「登録」）とを比較し、単身者向け賃貸マンションの防犯性の実態について把握を行った。調査結果を要約すると以下の通りである。①マンションの選択理由は、「一般」「登録」とも大きな違いはみられず、通勤通学に便利であることが重視されており、防犯に関する項目についての重視度は低い。②防犯に関する詳細な項目に対しては、両マンションで「オートロツタシステムの導入」が重視されている。また「登録」では「防犯カメラの設置」やその他の項目についての重視度が高い。また防犯に関する評価項目では、「防犯設備の充実」「オーナー、管理人の配慮」の点で「一般」「登録」との評価が分かれており「登録」での評価が高い。③マンションでの犯罪不安感は「一般」で高い。さらに「一般」における犯罪等の被害発生件数は多く、空き巣や痴漢の被害も発生している。さらに、マンション共用部分での不安感も「登録」と比べて全体的に高い。④近所付き合いは、「一般」に比べて「登録」で積極的に行われている。近所付き合いの有無と犯罪不安感の関わりについて顕著な差はみられないものの、マンション内に困ったときに相談できる人がいることが犯罪不安感の軽減に一定の役割を果たしていると推測される。