市民の意識から見た緑地保全活動の参加促進プロセス: 参加課題に関する解決の優先順位

摘要

以上，本研究の結果から市民の意識に基づいた参加促進のプロセスの特徴を総括し，参加促進プロセスを明らかにした。本研究の成果は，属性別で参加促進プロセスを導きだしたことで，市民と一括りするのではなく属性別に参加促進を検討していくことの重要性を示唆できたことにある。成果の詳細は，次の3点にまとめられる。1つ目は，市民に緑地保全活動参加への興味関心を持ってもらうことよりも，「活動場所が近い，アクセスが良い」を初めに参加促進の過程の中で取り組むことが最も有用な方法ということを明らかにしたことである。2つ目は，参加意欲を持ってもらうための参加促進方策として，適切な作業量で無理なく安全に活動できることをアピルし，興味関心をもってもらえるようにすることが重要であることを明らかにしたことである。さらに参加までに至るには，距離と時間という物理的コストに加え，保全活動の意義の充実が重要であることも明らかにした。3つ目は，日時や回数を調整し参加できる機会を増やすことが，10代から50代の参加促進において大切であることを明らかにしたことである。また，若者には活動興味に解決の力点をおき，年齢層が高くなるにつれて体力不足の解決にシフトしていくことの必要性も明らかにした。以上，3つの成果を示したが、既往の保全活動参加に関する事例研究で言及されてきたことも一部含まれているが，大規模な社会調査で市民の参加意識を構造的に分析して一般化に近づけた点にも研究意義がある。本研究の成果は緑の基本計画といつた緑地計画における市民参加促進のアクション手順の検討に応用が可能であることは勿論のこと，各保全活動団体の活動計画にも応用が可能である。%In city areas, it is important to promote green space conservation activities in cooperation with the citizens. The objective of this study is to reveal the promotion process for green space conservation activity participation based on citizens' perspectives.11 issues about participation were listed, and paired comparison analysis among these issues was conducted (n=1500). In the analysis by Dematel method, the priority of resolving was identified. The results revealed that the first priority of solving the issue in each attributes is "activity location". They pointed out that the presence or absence of willingness to participation affects the promotion process.