非常時における地域の建設事業者の生産活動: 2011年東日本大震災後における地域生産システムの役割に関する研究 その2

摘要

After Tohoku Earthquake and Tsunami 2011, with the view to compensate for the production capacity of prefabricated major manufacturers and contribute to economic rehabilitation, severed builders located in affected prefectures undertook contracts to construct temporary houses. Based on detailed interviews with the 12 builders in Iwate Prefecture which supplied temporary houses, this article examines how regional builders produced temporary houses in terms of challenges and measures to deal with them. The findings offer basic knowledge concerning how regional builders could function in production activities in emergency situations.%2011年東日本大震災では、大手プレハブメーカーに加え、公募等を通して地域の建設事業者が、応急仮設住宅の建設を担った。この供給事業において、被災地域の住宅生産システムが一定の役割を果たしたと考えられる。前報1では、2011年東日本大震災後の応急仮設住宅の供給の実態を、岩手県を対象として統計資料に基づき明らかにした。具体的には、地域の建設事業者は大手プレハブメーカーに比べェ期が長い傾向にあり、それは県の設定した工期、事業者個々が抱える課題と敷地の条件に影響された結果であることを示した。ただし、事業者個々の課題についてはそれぞれの属性や平時の生産活動によって異なると考えられるが、この点については十分に把握されていない。そこで本稿は、地域の建設事業者により実施された応急仮設住宅の生産活動の実態を把握•整理し、その上で、非常時の生産活動において地域の建設事業者がどのような役割を果たし得、また、どのような課題があるかを、平時の生産体制との比較から明らかにすることを目的とする。