街路空間利活用に向けた賑わい創出事業に対する経済価値分析: 大阪市御堂筋社会実験前後のアンケート調査分析から

摘要

Street spaces are open to everyone, and they are important fectors for indicating the city's vitality to visitors. In 2011, the regulation of public space utilization was relaxed, and it became possible to implement commercial activities, and put shop facilities and equipment on streets. Since then, expectations for revitalization of downtowns have increased, but an occupation fee is required to use a hindrance for private sectors to enter the project. Therefore, this paper analyzed the valuation for the bustle creating projects using street spaces. Through this analysis, the economic value of the bustle created by on-street businesses was calculated, and the result indicated that the value of bustle can be considered as one of the valid indicators to support the reduction of occupation fee.%街路空間は都市を訪れる全ての人が利用する空間であり、街路空間における体験がその都市のイメージに大きな影響を与える。中心市街地の再活性化や画一的な都市空間からの脱却、さらには都市間競争の激化といった背景の中、街路空間は重要な空間と再評価されつつある。2010年に閣議決定された新成長戦略においては、道路空間における新たなビジネスチャンスの創出を目的として、道路空間のオープン化を掲げた他、2011年には都市再生特別措置法の改正が行われている。この改正による規制緩和の目的としては、行政の財政負担の軽減を図ることにあるため、道路空間の利活用による利益の還元が求められているものの道路空間を賑わいや交流創出の場として利活用できるよう道路占用特例(広告塔や飲食施設の設置等)が設けられたことで中心市街地活性化への寄与が期待された。しかしながら法改正後2年が経過した現在においても道路占用特例を受けた事例は少ない。道路空間の持続的な利活用を考える上では事業収支を合わせなければならないが、規制緩和されたと言え自由度の少ない街路空間での賑わい創出事業では多くの収益を望めない上に、道路占用料が大きな負荷となり、民間参加の大きな障壁のひとつとなっている。減免措置を受けるという方法もあるが、減免措置を受けるに当たっては道路維持管理に協力することといった実質的な利益の還元が求められているため、そもそも収支の合わない状況において更なる負担を請け負うことは困難である。しかしこの度の規制緩和の趣旨が民間活力の活用ということであれば、商業活動の活性化や、場合によっては居住者の増加による法人税•住民税の増加といった中心市街地活性化による間接的な効果も「利益の還元」として考慮すべきであると筆者らは考える。本研究では、持続的な街路空間における賑わい創出事業の実施に向け、賑わい創出事業に対する来街者及び周辺事業者の意識を明らかにすると共に、道路占用料の減免措置を講じる上でのひとつの指標として「賑わい」を導入することの可能性を考察したい。