ネパールの世界文化遺産登録都市における庇タイプから見た 都市型住居の外観意匠と増築•建替えプロセスバクタプル東部のモニュメントゾーン内外を事例として

摘要

本稿の成果と得られた知見は以下のようである。1) ネパールの町家の外観意匠調査シートを作成した。2) 町家の各階用途の階層性を踏まえた上で、庇タイプという概念を 導入し、調査地区の3階以上の町家で7種類の庇タイプを得た。3) 庇タイプ間の関係性に着目して、町家の階数増築·建替えプロセ スの仮説を提出した。庇タイプにより外観意匠調査の結果を整理し たところ、庇タイプごとに外観意匠の特徴がよく現れる結果を得た。 これより増築•建替えプロセス仮説の妥当性が立証されたと考えた が、実際に増築年代を聞き取った結果から、水平庇グループの増築 が希なことが判明し、仮説の一部を修正した。4) mz内外とも庇タイプの庇設置階が上がると間口幅は狭くなる傾 向があった。通常、建替えや建て詰まりが進めば建物の敷地面積や 間口幅が狭くなることが予想されるため、庇タイプは都市空間の更 新を示す指標としても有用な可能性がある。%The paper deals with the exterior design of town houses both inside and outside monument zone of the eastern part of Bhaktapur in Kathmandu Valley registered as a World Cultural Heritage site in 1979. Analysis consists of following steps. Firstly, authors composed the original format of survey sheet on facades for Nepali town houses. Secondly, the paper submits a hypothesis on extension/ reconstruction with regard to 'eaves types' defined by the paper. Then the paper compared facade designs by eaves types inside monument zone with those outside monument zone. Finally, Eaves types are confirmed with reconstruction or floor extension period.