光透過型有機薄膜太陽電池を組み込んだソーラーチムニーの検討 （その１）システム概要と発電・換気の基礎物性

摘要

ZEB(Zero Energy Building)など都市部におけるネットゼ ロエネルギーが注目されており、都市部に導入可能な建 材一体型太陽電池(BIPV, Building Integrating Photovoltaics) など新しい建築設備としての太陽光発電の研究が盛んで ある。一方、太陽光発電は太陽エネルギーの80%以上を 熱として放出していると同時に、太陽光パネルの温度上 昇に伴って発電量が低下する課題がある。我々は、都市 部で有力な再生可能エネルギーの手段となりうる太陽光 発電において、光透過性のある有機薄膜太陽電池(Organic Photovoltaic、OPV)に着目し、窓開口部のペリメーターエ ネルギーシステムの研究を行い、ペリメーター部の熱負 荷低減と太陽光発電の両立1),2)、さらにOPV の温度上昇 に伴って発電量を増大できる熱アシスト発電3)について報 告した。本報告では、このようなOPV の特異な性質を活 用した新たな建築設備システムの創生を目的として、光 吸収体として光透過型OPV を組み込んだソーラーチムニ ーを取り上げた。OPV を組み込んだソーラーチムニーは OPV の熱アシスト発電の効果によって、光吸収体として OPV を組み込んでも発電機能と両立できることが期待で きると同時に、光透過型である機能を活用した建築設備 への展開も期待できる。本報はソーラーチムニー小型模 型の作製およびソーラーシミュレーターを利用した基礎 特性の評価を実施した結果を報告する。