法隆寺金堂焼損部収蔵庫における壁画の保存・公開に関する研究 －実測調査と数値解析による収蔵庫内温湿度の現状分析―

摘要

1949 年、法隆寺金堂は火災に見舞われ、金堂内壁画の 多くは焼損した。1954 年、焼損部収蔵庫が竣工した。そ こでは、焼損壁画、焼損した柱梁、小壁画などが保存さ れており、一般公開はされておらず、空調設備は一切な い。本研究の目的は、法隆寺金堂焼損部収蔵庫の保存・ 公開を考慮した環境調整方法の提案を行うことである。 検討手順としては、現地調査や温湿度環境調査と収蔵庫 内温湿度数値解析モデルにより、現状の環境の問題点と その環境形成メカニズムを明らかにし、その上で、今後 の、気候変動、保存・公開を踏まえて問題点解決のため の建築的対策、保存時、公開時の環境調整方法の検討を 行う。本報告では主に現状の温湿度環境の分析を行う。 なお、本研究は、法隆寺金堂壁画保存活用委員会におけ る調査の一環として保存環境WG が行っているものであ る。