環濠文化館

摘要

環濠集落を取り巻く藪と濠は、人々にとって「山」と「川」のようなものであった。rn「山・川- 村落」という生態的関係が日本の伝統的な生活の特徴で一つの風景をrn生み出していた。現在、奈良盆地に見られる環濠集落は、村を守るために掘られrnたものの名残である。人々は環濠の内側で自身の身を守るために鎧を纏い、己のrn家族と財産を守るため、そして自身の生活の場である村を守るため、村の周りにrn堀を築き濠を巡らせた。環濠は防御的使命を終えた後、あるものは残って田に水rnを引くために利用され、あるものは埋められながらもその痕跡を区割に残し、あrnるものはその存在を完全に消し去った。環濠集落は近年の都市化の波にのまれ、rnしだいに、人々の記憶の中から忘れられつつある。そこで、様々な時代を通してrn人々と関わり続けてきた「濠」と「藪」を新たな建築的要素として境界をつくり、rn環濠と地域、環濠と人々を繋ぐ空間を提案する。