ゴール指向要求工学方法論の共通用語モデルと共通パターン

摘要

ゴール指向は要求工学の手法としては最も重要なものの1つである．さまざまなゴール指向要求工学方法論が個別に研究されており，そのノウハウやガイドラインの中には，パターン，すなわち，一般的な場合に適用可能な，対象とする状況，問題，および問題への解の組合せとしてまとめられたものもある．しかし，ある方法論のパターンを別の方法論に適用するのは困難なため，パターンの活用には限界がある．本論文では，代表的なゴール指向方法論である，KAOSとi~*/Troposに対し，どちらの方法論にも適用可能な，共通のパターンを記述可能とするための共通用語モデルを提案する．共通用語モデルは，ゴールやエージェントといった，方法論のモデルに使用される個々の要素と，責任や操作可能性といった，要素間の関係を規定する．本論文では，KAOSとi~*/Troposの共通パターンを記述できるかどうかを調べることにより，本共通用語モデルの有効性を確認する．