②分散台帳上での匿名送金とその監査についてゼロ知識証明を利用したセキュアプロトコル

摘要

近年，Bitcoin, Ethereumをはじめとする喑号通貨, およびそのコア技術であるブロックチェーンが新しい決済システムの基盤として大きな注目を集めている.Bitcoinなどのブロックチェーンベースの暗号通貸の特徴として，銀行などの中央機関を必要とせず(非中央集権)，低い手数料で決済処理を行える点が挙げられる.たとえば，BitcoinではオープンなP2Pネットワーク上に送信された取引情報（以下，トランザクションと呼ぶ）を不特定多数のマイナーと呼ばれるノードが正当性を確認した後，ブロックにまとめられ，Proof-of-Work (PoW)と呼ばれる特定の閾値以下のハッシュ値を求める作業を行うことで承認処理を行っている.承認されたトランザクションは，ブロックチェーンと呼ばれるP2Pネットヮーク上の分散台帳に記録される.また，Bitcoinのトランザクシヨン，および分散台帳は，P2Pネットヮーク上の全ノードが参照可能であるため，どのユーザからどのユーザにコィンの送金が行われたかといつた取引に関する情報は，ネットワーク参加者全員が確認できる.結果，非常に透明性の高い送金システムといえるが，一方でこの透明性は，セキュリティの文脈において匿名性と背反するお.当然，トランザクションを生成するユーザが，送/受金者，送金額などの機微情報を暗号化することで匿名性を確保可能だが，マイナーがトランザクションの正当性を確認できないといった問題が発生する（たとえば,UTXO： Unspent transaction outputモデルにおいてトランザクションのinputの金額の合計値はoutputの合計値と一致しているか，であったり，送金額は正の値か，といった正当性の確認ができない）.