通信サービス構築の観点から見る携帯電話網におけるモバイルIP

摘要

本稿では，一般的には認知度の低い3GPP2におけるMobile IPの技術を取り上げ，事業的観点から概論した．携帯電話事業の世界でデファクトとなっているGSMやcdma2000に関しては，日本発の技術ではないためか，これまで，日本の学術雑誌へ掲載されたことがほとんどない．しかし，次世代技術を論ずるには，通信事業の実態や運用現場のニーズを的確に研究者が把握し，現用技術を精緻に分析し，問題点を把握する努力を続ける必要がある．3GPP2におけるMobile IP技術は，学術雑誌への掲載は皆無の状況にあり，運用現場独自の判断で仕様策定に走ったことに特徴がある．このような開発現場の技術開発活動を学会に取り込めれば，的確なニーズ把握を学会にもたらし，出口のある研究，シーズのある開発サイクルを助長し，単に学会の活性化だけでなく，開発現場のリスク軽減にもつながるはずである．関連研究会も含め，研究技術の周知，運用現場からの情報収集活動の徹底が望まれる．