医療分野におけるICタグ（RFID）と国際標準化の動向

摘要

近年ICタグの普及が産業のさまざまな分野で進んでいる．本特集の医療分野への応用もその1つであり，その主たる目的は個体識別およびその応用システムである．そこで本稿では，個体識別におけるICタグがどのようにして普及し始め，現在世界でどのような分野で導入されているかについて国際標準化の視点から説明する．周知のように，ICタグは当初想定された急速な市場の立ち上がりとは異なり，着実でかつ比較的スローな広がりを示している．これはICタグのPilot導入が進むにつれて，予期しない新たな課題も出現しているためである．これらの課題は医療分野を含め全分野に共通の課題である．今後これらの課題を1つずつ解決しながら普及が拡大するものと想定される.