経営科学のニューフロンティア7混雑と待ち

摘要

本書は，待ち行列理論の入門書である.まえがきには「これまでにないまったく新しいタイプの入門書に挑戦してみることにした」と記されているが，まさにそのとおり，他の入門書とは一線を画すユニークな作りになっている.まず，取り上げられている題材に特徴がある.本書では，待ち行列理論を「偶然を原因とする混雑現象の解析理論」と定義しているが，世の中には交通工学，在庫理論など，混雑現象を扱う学問は数多く存在している.これら広い意味での混雑現象を統合して論じることが本書の目指すところであり，「混雑」「待ち」というキーワードのもと，多種多様な題材が集められている.まったく異なる分野でありながら，「流入」と「流出」という観点から，混雑現象が統一的に論じられていく手法は見事である.