ICT•音声認識の活用による講演•講義の字幕付与

摘要

2015年春の本会全国大会を京都大学で開催するのに際して，新たな試みをいくつか行った.その1つが託児室の開設で，もう1つが聴覚障がい者への情報保障である.関連学会の状況を調査してもらったが，全国大会レベルではいずれもほとんど前例がなかった.聴覚障がい者の情報保障というと，手話通訳を用意すればよいと思っている人が意外に多い.しかし，手話(視覚言語)でコミュニケーションを行うのは生まれつき聴覚に障がいのあるろう者が中心で，はるかに多数の難聴者や中途失聴者は音声言語を中心にコミュニケーションを行い，手話を解さない人が多い.したがって，情報保障の手段は，音声言語を要約筆記•字幕化することになる.しかし，要約筆記を手配しようとすると，予想外に困難であることが分かった.京都のような規模の都市でこのような状況であることに愕然とした.