第19回画像の認識•理解シンポジゥム（MIRU2016)開催報告:人やアイディアの交流場として，新しい知見を取リ入れ発展するMIRU

摘要

現在，MIRU (The Meeting on Image Recognition and Understanding)は学生•若手•中堅•大御所，大学•企業•研究機関等の枠を越え，コンピュータビジョン分野における大規模かつ重要な国内会議という位置付けとなっている.特筆すべきは発表件数が250件（うち2016年の口頭発表は19件）を超えることであり，毎年活発な議論が繰り広げられている.2016年の参加者は700名以上と毎年増加のー途を迪つており，昨今の人工知能ブームだけではない理由があると考える.筆者が考えるその理由とは，1.日本語で洗練された研究内容をキャッチアップできる2.招待講演を含めほとんどの講演がポスターにて議論できる3.全日程を通してプログラムが充実している4.人の交流が盛んである.といったように，講演者と参加者の双方にとつて参加するメリッ卜が非常に大きいことである.MIRUの目的の1つに，国内で議論する場を設けその後の国際会議や学術雑誌への投稿を促進するというものがある.優秀な査読付き論文はCVIM研究会が編集を担当している英文誌IPS J Transactions on Computer Vision Applications (IPSJ CVA)にExpress paperとして採択される仕組みも整っている.萌芽的なアイディアや，挑戦的な研究，十分に練られた内容の論文など充実したプロシーディングスが手に入ることは学会が注目を集める要素の1つでもある.実際に論文を読んでみても世界規模の国際会議と比較し引けを取らない内容も多く，それでいてほとんどの講演がポスター発表も行っており，日本語での議論もできる.難関国際会議であるCVPRやICCV,NIPS, SIGGRAPH, ISMARなどに突破した研究者が招待講演に招かれており，彼らともインタラクティブに議論ができる.また，若手の研究者が集まり合宿形式で連日議論を重ねる若手の会が開催されている.今回の若手の会のテーマは「研究に役立つツール・ノウ八ゥを学んでみる」と設定され，事前の準備もあり，充実した内容だったようである.テーマとしてはコンビュー夕ビジョンの基礎であるカメラキャリブレーション，深層学習のフレームワーク，GPU (Graphics Processing Unit),バージョン管理など多様である.人の盛んな交流のみならず，アイディァゃ知識という意味でもまさにコンピュータビジョン分野の交流場であると感じた.