位置情報に基づく遅延挿入によるP2Pトラヒック誘導方式

摘要

近年，動画配信にP2P技術を利用するP2P形映像配信サービス(P2PTV)が注目されている.P2Pは物理的なネットワークトポロジーを考慮しないことから，多くのISP(Internet service provider)やAS(Autonomous system)を経由する冗長なトラヒックが発生することが懸念されるが,データ量が大きい動画配信では特に大きな問題となる.従来手法であるP4PやALTOでは，ISP内にトポロジー情報などを保持する専用サーバを設置し，P2Pアプリケーションがそのサーバから情報を受け取ることで，トラヒック誘導を実現している.しかし，これらの手法はISPの協力のみならず，P2Pアプリケーションの改変も必要となる.本論文では，ゲートウェイルータにて通信相手の位置情報を調べ，遠方ピアとの通信に追加遅延を揷入するP2Pトラヒック誘導方式（P2P-DISTO)を提案する.また，提案手法を実装し，実際のP2PTVアプリケーションを用いた測定実験を行ってトラヒック誘導効果を検証するとともに，動画再生品質に関する評価を行い提案手法の有効性を明らかにする.