暗号と情報セキュリティ実装技術論文小特集の発行にあたって

摘要

情報セキュリティ技術が今日ほど広く認知され，期待を寄せられている時代はない．携帯電話，インターネット，電子決済などの利用にあたり，ほぼすべての国民が日々情報セキュリティ技術の恩恵を受けており，ICT技術の適用対象の拡大に伴い，情報セキュリティ技術の応用先も広がっている． 本会の情報セキュリティ技術への取組みは1980年代初頭にさかのぼり，1990年からは毎年英文論文誌に，暗号と情報セキュリティ特集が組まれている．本特集は，これと同じ分野を対象としつつ，純粋な理論面や運用面ではなく，「実装技術」に焦点を絞った点に特色がある．ただ採録された論文は，いずれも暗号技術の実装を扱っており，ソフトウェアやシステム等，対象の多様化は今後の課題となった．