長距離結合を持つ抑制性細胞が同期振動に及ぼす影響

摘要

The synchronous firings in a pulse neural network connected by both chemical and electrical synapses are examined. Initially, all neurons connect to nearby neurons, and then, we replace some of excitatory and inhibitory neurons by those with long-range connections. It was found that the inhibitory neurons with long-range connections facilitate the synchronous firings more efficiently than the excitatory ones.%スモールワールド理論が注目を集めて以来，長距離結合を持つ神経細胞がネットワークの同期活動に及ぼす役割について関心が高まっている.これまでの理論的な解析によると，長距離結合を持つ興奮性細胞がネットワークの同期を促すことは知られているものの，そのために長距離結合を持つ細胞がどの程度の割合必要かについては文献により大きな差がある.一方，興奮性細胞よりも抑制性細胞の方が同期に大きな影響を及ぼすことが実験・理論により知られている.Buzsakらにより，長距離結合を持つ抑制性細胞のみのネットワークの同期が調べられている.今回我々は興奮性・抑制性混在のネットワークにおいて，長距離結合を持つ興奮性・抑制性細胞の割合を変化させ，同期に及ぼす影響を調べたが，ここでも抑制性細胞の影響が大きいことが明らかになった.