「車の両輪」の海運と港湾

摘要

物流の果たす役割とその重要性は、近年広く認識されるところとなってきた。世界経済の発展と人々の生活の向上は、国際貿易の拡大とそのための安定的で効率的な物流網の発達によりもたらされ、また、各国経済の成長とグローバル化の進展は、物流網の更なる拡充と高度化を要求する。そして、その物流網の根幹を担っているのが海運なのである。今、世界の貿易量は年間120億トンに達し、その9割近くが海上輸送によるものとされている。特に、四方を海に囲まれた日本においては、輸出入物資の99.6%が船により運ばれており、貨物の種類は、石油•ガス•石炭などのェネルギー資源、鉄鋼石•木材チップなどの工業原材料や穀物•食料の輸入、自動車や機械•化学製品の輸出など、ありとあらゆるものにおよぶ。換言すれば、海運はわが国の産業活動と国民生活を支えるためになくてはならない存在であると言える。