避難対策からみた病院外来部の在館者·避難困難者特性

摘要

病院は自力避難が困難で介助を必要とする在館者が多いため，災害時の安全性向上に向けた防災計画や避難誘導の検討には，避難困難者の特性や人数，介助体制の把握が必要である。その実態は，病棟については調査が行われてきたが(最近の例),外来部は調査が困難で不明な点が多い。外来部では，病棟に比べて重度の避難困難者の割合は小さいものの，患者数自体は多く，患者の把握も困難な点等，病棟と異なる防災上の課題がある。筆者らは，都心型と郊外型の大規模病院の外来部において，避難行動能力別の在館者数を実測する機会を得たので，その結果から，病院外来部の避難対策上の特質，課題を報告する。