特集：建設現場の火災

摘要

ここ数年，大量の黒煙が立ち昇るような建設現場からの火災が頻発しており，報道映像を通してその異様さゆえに衆目を集めている。とくに2018年7月の多摩市の建設現場における火災では，地下3階からの出火で黒煙と停電も相まって多数の作業員が死傷した。当然のことながら，防火設備が備え付けられた完成後の建物とは違い，建設途中の建物には消火器程度の備えしかなく，発泡性建材や塗料といつた燃え草が大量に積まれていたり，溶接や溶断による種火にも事欠かない。また昨今の建設現場では人手不足が問題となっており，作業員の高齢化，外国人比率が増えたことなどによる情報伝達不足，さらには工期とコストの削減圧力が厳しいことも遠因になっているかもしれない。そhなわけで火災事故が発生しやすいリスク要因が多数揃っているのが建設現場である。