施設の老朽化に対する防食技術について

摘要

昨年5月の下水道法の改正により、下水道の維持修繕基準が創設され、腐食するおそれが大きい排水施設においては、五年に一回以上の適切な頻度での点検が義務づけられました。この排水施設として①下水の流路の勾配が著しく変化する箇所又は下水の流路の高低差が著しい箇所、②伏越室の壁その他多量の硫化水素の発生により腐食のおそれが大きい箇所、およびその周辺で、コンクリートその他腐食しやすい材料で造られているもの（腐食を防止する措置が講ぜられているものを除く）と記されています。これらの箇所はこれまでの研究•調査報告などからも腐食が発生しやすい箇所として知られていますが、一方で我々の合流式下水道管におけるコンクリートの微生物腐食の調査では、これらの場所以外にも一般の住宅地において調査地域の約6割が腐食Cランク（表面が荒れた状態）以上や、十数年でAランク（鉄筋露出状態）になった場所も確認しています。また処理場においては、防食のエポキシ樹脂がわずか数年でキクラゲのように変化した場所も確認しています。このように微生物腐食は条件さえ揃えばどのような場所でも発生する危険性があり、しかも進行が早いという特徴があります。