求められる水資源政策の転換: ダム・河口堰計画の限界

摘要

20世紀はダムの時代と言われてきた．ダム・河口堰は建設に当たって水没問題や環境問題等数多くの問題を発生させながらも，着々と建設が進められてきた．特に高度成長期を中心に発生した膨大な都市用水需要に対して，ダム・河口堰はわが国の都市を支える貴重な生活基盤・産業基盤として機能してきた．しかし，20世紀末に発生した長良川河口堰反対運動，さらにはそれに続く一連のダム・河口堰反対運動の中で，ダム・河口堰の建設論理は徹底した批判を受け，事業が中止される事例も見られるようになった．