海軍戦闘機設計の真実: 曽根嘉年技師の秘蔵レポート！

摘要

零式艦上戦闘機(零戦)は、わが国で開発された航空機の最高傑作として位置づけられていることは周知のとおりです。昭和12年から12試艦戦として開発に着手し、昭和14年4月に初飛行、装備エンジンを三菱製の「瑞星」から中島製「栄」に換装して、厳しい開発要求性能を満足する優秀な性能が確認されました。当時、中支方面で作戦をしていた96式陸上攻撃機(中攻)が少なくない損害を被っていましたから、その護衛の任務を果たすことを熱望されるようになりました。昭和15年9月13日、横須賀航空隊から空輸された零戦が漢口の基地から重慶に中攻を護衛して進出し、中国側の戦闘機群を捕捉して全機を撃墜したうえ、味方の損害はゼロという華々しいデビューを飾りました。この間の開発状況、ならびに技術課題への対策などについては、主任設計者の堀越二郎と海軍航空参謀などを歴任した奥宮正武共著の『零戦』で詳細に描かれています。この著書のおかげで、零戦およびその前後の戦闘機の開発のことについて、詳しく知ることができます。