協会活動の思い出と今後への期待

摘要

令和の始まった年に協会創立70周年を迎えられたことについて，これまで協会の運営にご尽力いただいた多数の関係者の方々に敬意を表するとともにお喜び申し上げます。さて，私は平成時代後半の10数年にわたって運営幹事会，機械部会，製造業部会，標準部会，シンポジゥム実行委員会，日本建設機械要覧の総論章の執筆等，多岐にわたつて協会活動に携わってきました。この期間は，オフロード法への対応等，建設機械メー力にとつて大きな課題が山積しており，建設機械メーカの委員のみならず様々の関係者の皆様のご協力を得てそれらの課題に取り組めたことを心より感謝いたします。なかでも強く思い出に残っている活動のひとつが，JCMAS H 020「土工機械ーエネルギー消費量試験方法一油圧ショベル」の2010年版改定作業への参画です。かって，油圧ショベルをはじめとする建設機械の燃費に関しては統一的な測定標準がなく，各メーカがそれぞれ独自の方法で燃費を計測していました。そのため，機械を使用するユーザにとっても機械を開発するメーカにとっても燃費を客観的に比較評価する共通の尺度がなかったと言えます。そのようななか，本協会では長年にわたり建設機械の燃費測定標準の策定作業を精力的に行い，現時点では油圧ショベル，ホイ一ルローダ，ブルドーザならびにホイールクレーンの4機種についてJCMASが制定されています。JCMASH 020の2010年版では，内燃機関を動力とする標準型の機械に加え，ハイプリッドタイプや電動タイプなどに対応した「エネルギー消費量試験方法」へと大幅な改定が行われました。これにより，2010年当時の主要建設機械の燃費を測定することが可能となり，国交省は2006年オフロード法適合機（標準型）のJCMAS燃費をもとに2020年燃費基準を定めるとともに，低炭素型建設機械，燃費基準達成建設機械の認定が順次開始されました。その後実施された国による省エネ型建設機械の各種普及促進事業では，低炭素型建設機械の認定あるいは2020年燃費基準達成が補助対象機種の要件のーつとなり，ICT建機を含む省工ネ型建設機械の開発や普及を力強く促進することになったと思います。建設機械の燃費測定標準と燃費基準を定めているのは現時点でも我が国だけであり，当時の活動が如何に画期的なものであったかがおわかりいただけると思います。今後，省エネ型建設機械のより一層の普及により，国内のみならず世界中の建設施ェ現場でのCO_2削減に大きく寄与することを願っております。