カーボンナノチューブ電線の開発と課題: 軽量•高強度•低抵抗の次世代電線

摘要

従来，車載の卷線•ワイヤハーネス(W/H)などの電線として，銅電線が使用されてきた.銅は電気伝導率に優れるが，比重が大きく，将来的には枯渴の可能性もある.そこで，古河電気工業株式会社(以下，古河電工)では，銅よりも軽く，豊富に存在するアルミを用いた導体の開発を行っている.2020年代にはW/Hにおいてアルミ導体の適用が進み，自動車の軽量化に貢献する見込みである.それでは，アルミの次に来る導体は何であろうか.古河電工では，銅•アルミに代わる新素材として，銅よりも電気伝導率に優れ，アルミより軽量となりうる，カーボンナノチューブ(CNT)を用いた電線を開発している.本稿では，銅•アルミの代替としてのCNT電線のポテンシャルならびに開発状況を紹介レCNT電線の車載応用例を紹介する.%Developing wires using carbon nanotubes (CNT) have some excellent advantages such as light weight high strength and low electrical resistance; this should be the next generation electric wire. The CNT wires are candidate to replace conventional wires in the automotive wiring harness and motors. Here we are presenting the present status and future challenges of the CNT wires.