ADASに対応する法制化の動きと課題，将来動向

摘要

車両運動制御技術はブレーキ制御であるABS(Antilock Brake System)に始まる.ABSにより，それまで高度な運転技量が必要であった限界制動時のホイールロックコントロールが通常のドライバでも可能になった.ESC (Electronic Stability Control)では駆動力制御も加わり，ブレーキを左右輪独立で制御することにより横方向制御も可能となった.現在では先行車両を検出し適切な車間距離を維持しつつ加減速制御を行うACC(Adaptive Cruise Control),また衝突被害軽減ブレーキが急速に普及拡大している.横方向制御は，操舵力をモータで助勢するEPS(Electronic Power Steering)を休用することにより可能となり，操舵制御付車線逸脱警報LDWS(Lane Departure Warning System),車線逸脱防止装置LDPS(Lane Departure Prevention System)が実現した.これらのドライバの運転をサボートする技術を高度運転支援システムADAb (Advanced Driver Assistance System)と呼ぶ.本稿では，進化を続けるADASの法制化に向けた取組みと克服すべき課題，また完全自動運転を視野に入れた将来動向について紹介する.