2020年に向けた自動車社会の動向と自動車情報システムの戦略

摘要

自動車技術会の会誌という格式ある誌面への寄稿をお受けするには相当戸惑いがあった.その最大の理由は，私が自動車そのものに関する技術に携わってきた経験が少なく，どちらかというと“自動車周辺の新事業開発”を生業にしてきたことによる.過去を俯瞰してみれば，「それは自動車と社会との情報連携を創出する活動であった」 といえる.その過程で諸先輩からいただいた数々の指示は「自動車社会の将来を見通した先見の明だったのか」と，今改めてその偉大さを感じるところである.本稿をまとめる気になつたのは，この機会に「40年にわたって模索してきた自動車と社会の情報連携の動きを整理するとともに， 2020年以降の新しいモビリティ社会への道筋を少しでも描ければ」と思ったからである.